ジョージ・ルーカスというと皆さんスター・ウォーズとかインディ・ジョーンズになってしまうのかもしれませんが、スター・ウォーズを作る為の資金を稼いだのがこの映画です。と言ったらいやらしいのですがデビュー作がコケて起死回生の一発、そんな感じです。スター・ウォーズではキャラクター商売が上手くいって映画そのものよりも稼いでいますが、こちらの映画もサウンド・トラックが売れています。規模は桁違いですけど。
アメリカの4人の男子高校生の高校最後の夜をそれぞれの物語を描きつつ進行していく、所謂グランドホテル形式となります。当時無名の俳優を多数起用して作ったとありますが、この映画がキッカケでブレイクする人ばかりです。この映画は続編があるのですがそちらは本作よりヒットしていません。その時はギャラも上がっていますし大変だったと思いますが、ルーカスの資金力の方が上回っていますよねきっと。
本タイトルは1962年の夏という舞台設定です。アメリカは秋が新学期になりますので夏に卒業パーティをやっているのですが、日本人にはピンと来ないですね。パーティそのものもですけど。それぞれが卒業後の不安を抱えたまま高校最後の夜を過ごします。
ビーチ・ボーイズが新しいバンドという描かれ方をしています。中学生くらいの女の子が夜遊びに参加していますがその子はビーチボーイズが好きだが、計らずも一緒になってしまった男の子は興味無くバディ・ホリー迄がロックと言っています。ホリーはこの時既に故人です。ホリーのバンド、クリケッツの構成を参考にした、イギリスのバンドが世界を席巻するのは2年後になります。
明るく楽しく豊かなアメリカ、でも夜の田舎町を描くことによって何とも言えない閉塞感を感じます。でもずっとそこに居ると居心地は良いですものね。それでもやっぱり都会の暮らしも憧れる訳で。
その町を出て行きたくないエリートの男の子とステディがいるのに町を出て行きたい男の子、どちらも将来への不安が滲み出ています。田舎町で行く所と言えば地元のファミレス、だからウェイトレスも顔馴染み、会う人も知り合いばかり。これをどう捉えるか。私の住む川越も他人事では無いです。
ラストシーンでは淡々と4人のその後が字幕で語られます。この3年後には2人は居なくなってしまうという物ですがこの情報いる?とも思ったのですが今仲良しでもやっぱり其々の人生、でもこの一緒にいた時間はかけがえのない物、そんなことを思わせてくれます。
映画のラストのビーチ・ボーイズは1964年の作です。1964年にはビートルズがアメリカに進出してきます。ビーチ・ボーイズの底抜けに楽しい音楽の時代も終わりベトナム戦争も泥沼化します。その前の良き時代、でも作った方も観る方もその後のアメリカが分かっている分観ているのが苦しくなってきます。
このタイトルの公開が1973年でアメリカがベトナム戦争から撤退した年です。ビートルズは既に解散しエルトン・ジョンやポール・マッカートニー&ウイングスの時代になっていきます。そんなこと考えずに観られたら本当に楽しい映画なのかもしれませんが。