史上最低の映画監督、エド・ウッドの伝記映画と言う触れ込みだけですと、誰が観るんだという感じですが逆に怖いもの観たさを感じます。しかも監督はティム・バートン。なのにこれも公開時に観に行けませんでした。
当時エド・ウッドって誰?って感覚だったと思いますが、日本でもその数年前から再評価が始まっていました。「死霊の盆踊り」とか。酷い邦題ですね。ティム・バートンってマニアックな人だし意外性はあまり無かったんですが、当時監督として絶好調だったのにこんなの撮って大丈夫なのかしらと思ったものです。
この映画自体の出来はエド・ウッドの映画と違い構成もしっかりしているし見応えがありました。失敗作を撮り続けても監督を続けられるのは口の巧さも当然あるでしょう。その辺はジョニー・デップが好演しています。
でもこの話1950年代で映画が未だ元気だった時代なんですよね。だから酷い映画を撮り続けでも次のチャンスがあったということなんでしょう。さすがにこの映画の中での最後の映画「フロム9〜」以降はあまり作品が続きません。でも低予算の中頑張ったんでしょうしベラ・ルゴシ、ヴァンパイラ、落ち目とはいえ大物を引っ張って来て撮っているんですから。
この図書館のシールの貼り方だとベラ・ルゴシ役のマーティン・ランドーの顔が見えません。アカデミー賞を取ったのはこの人ですよ!と言ってもまあ貼るところも限られているので仕方ないか。
エドの奥さんのキャシー役のパトリシア・アークエットさんですが、お姉さんのロザンナさんは「グラン・ブルー」「スーザンをさがして」で見ていたのですが、パトリシアさんは映画で見るのは初めてでした。お姉さんに似てますね。綺麗な方です。キャシーの役柄も控え目で素敵です。でも生活は苦しかったのではと想像します。
映画の最後で登場人物のその後が語られます。この後成功した人はエドの元恋人のドロレスくらいなんですね。そしてこの映画からも4半世紀が経っていますのでかなりの方が鬼籍に入っています。なのでこの時はギリギリ当事者の話も聞けて映画が作れたんでしょう。監督の想いも含め良い映画だと思います。