さだまさしさんがソロになる前にやっていたフォーク・デュオ。グレープってどうしてもそういう紹介になりますね。さださんのソロが売れすぎたということなんですが、3年で辞めたのは今から思えば勿体なかったと思います。
それにしてもさださんの声が若い。観衆の女の子の声も若いです。MCは今のさださんからダメ出しを食らう感じの出来で、まだまだ熟成されていません。それも含めてその雰囲気がこのアルバムの価値を高めているのかもしれません。
他のところで本人も言っているのですが恋の終わりの歌詞が酷い(笑)です。人を振っておいて「何かの間違いでしょう」とか、終わった恋について「初めが間違っていた」とか、そんなこと言われたら修羅場でしょうに。
もっともグレープの代表曲と言えば「精霊流し」「無縁坂」「縁切寺」となるのですから、あまり恋の歌の出来は関係ないのかもしれません。解散理由の中にもっと違う物を演りたいが売れない、というのもあったと記憶しています。
又、MCの中で長崎の話ばかりしていて北海道なんかでは文句を言われるという話をしています。今から目線で言えばこの十数年後に北海道を舞台にしたドラマの主題歌を歌い、借りを返して余りある働きをしていますね。
このアルバムはレコード時代、曲数も少なく曲順もバラバラに編集されて世に出されました。しかも解散の一月前です。収録時は解散を公表しておらず、和やかな雰囲気でコンサートが進みます。CDになって曲数も曲順もコンサート進行のままに編集し直しています。なので「完全版」となっています。
吉田さんのジャズの要素とさださんのクラシックの要素、続けていたらもっと違う可能性もあったと思わせる曲もあります。でも売れる曲が偏り過ぎて、レコード会社の要求と本人たちのやりたい物がズレてしまったのかなと思います。とはいえ精霊流しが売れてなければ何も始まらなかったでしょうから、巡り合わせって難しいですね。
ライブ・アルバムはその時その瞬間を切り取った物なので、解散を言えないなか観客を盛り上げ楽しいコンサートにしようとしている雰囲気も伝わります。そう思って聴いているからかもですけど。
フォークグループのクラフトに書いた「さよならコンサート」はファンの女性、多分好きだった女性に去られる歌手の唄です。でもこのコンサートは逆にファンから自分が去って行くということですが、それでも続くのが人生。さだまさしさんは未だ今も歌い続けています。
これでとりあえず図書館DVD/CDは打ち止めです。次週からは私の持っているものからのご紹介になります。図書館が復活してもすぐには行けないかも知れません。それまで今しばらくガマンガマン。